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庭、家のことなど。

日記 posted on 2020-11-1

今年は夏の終わり頃に庭師さんに庭木の選定をしてもらいました。しばらく油断してたら日本庭園の木の枝が伸び放題になっていて、風の強い日に木の枝が塀や灯篭に当たるのでちょっと危機感を持っていました。枝が伸びすぎていて樹形を整えるのが難しかったのか、若干違和感はあるものの、庭自体の印象は相当スッキリしました。少し前に苔も敷いたので、日本庭園のセクションはほぼ完成形になりました。そんなこんなで今年は仕事の合間に庭を見る時間が長いような気がします。

家の第一次リフォームが先月に行われました。とても美しくなり満足しています。今月は第二次リフォームが始まります。古い家なので随分手を入れましたが、むしろ100年前のオリジナルの雰囲気に戻すために昭和の無茶苦茶な工事を撤去しているだけのような気もします。ただ家がどんどん美しくなっていくのは嬉しいことで、その費用の捻出のために仕事を頑張っているというのもあります。

今年もいろいろありましたが、まだいろいろやるべきことがあります。チユキも頑張っています。僕も頑張らないといけません。

20年以上前のことをふと思い出す。

日記,漆工芸 posted on 2020-10-31

今でも思い出します。20年以上前、僕が学生の時のことです。3次元CAD・CAMとCNCフライスで漆の素地を作っていた時です。突然、「ちょっと、見せて貰うよ!」と部屋に大学の学長が入ってきたことがありました。学長は美術の専門家ではありませんでしたが、総理大臣の諮問機関、経済諮問会議のメンバーでした。そんな人が一学生である僕に何の用かは不明でしたが、とにかく学長と二人で話をするという状況になりました。当時の漆工芸界では現代のテクノロジーを使いこなす人は珍しかったのですが、学長がわざわざ来て話を聞かせてほしいというほどのことでもないと思ったので、かなり?な感じはしたのですが、聞かれたことに淡々と答えたように記憶しています。

一通り説明が終わったところで、学長が「ところで君のオリジナリティーは何?」と聞いてきました。なるほど、とてもいい質問だと思いました。もちろん学長が僕から何を聞き出したいかも分かりました。「既存のテクノロジーを使って何かを作るのは他のジャンルでは当たり前ことで、漆工芸の世界が遅れているだけ」ということ、「作りたいものがあるがその方法を模索している」ということ、「オリジナリティーを作品以外で主張するつもりはないが、今だそんな作品をつくれていない」ことを伝えました。
しばらく沈黙し、「君はこの大学では珍しく、うーん、なかなか優秀だね!」と冗談交じりで言って部屋を出ていきました。後日、学長が僕のことろに来た目的は分かりましたが、あまり関係がないのでここでは触れません。

この時の学長との数分の会話は今でも自分の考えの礎になっています。これからもモノづくりの本質を理解したう上で制作を続けていきたいと思っています。そこには「伝統の…」とか「現代の…」とか、そういうのは関係ありません。作品がどうかが重要なのであって、他のことはどうでもいいことです。
斜陽産業にありがちな偽物だらけの世界を未だ抜け出していません。ただ、それとは別にメディアの発達で、良いものがちゃんと評価される時代になりつつあるとは思っています。もう少し時間が掛かるかも知れませんが、ちゃんとした評価の土台ができれば、もう少し優秀な人材が入って来るようになるのではないかと思ってます。

今年の夏から秋にかけて、和巧絶佳展など。

日記,漆工芸 posted on 2020-10-11

毎日の仕事に忙殺されてほとんど更新できませんでした。和巧絶佳展の影響もあり、アクセス数は非常に多かったのですが仕方ありません。

今年の夏はいろいろありました。
和巧絶佳展が好評の中、無事終了しました。たくさんの方々にお越しいただき心より御礼申し上げます。また、Panasonic汐留美術館様、朝日新聞社様、武蔵野美術大学の木田先生をはじめ、関係者の方々に心より感謝申し上げます。僕はひたすら展覧会のために作品をつくるだけでしたが、このコロナ禍において、関係者の方々のご苦労は想像にあまりあるものだったでしょう。感謝というより敬意と言った方が良いかも知れません。たくさんの人たちによって工芸やアートの世界は支えられています。自分ももっと頑張らないといけません。少しでもこの世界に貢献できることを切望しています。

自分にとっても、作家活動の大きな節目になりました。今回の展覧会を一つの集大成にしようと思っていたので、それは達成できたと思います。
漆工芸の世界に入ってきた時「これくらいの作品をつくれるようになりたいな」と思っていたレベルが自分にはあります。当時の何も出来ない自分にとってはとてつもなく高い目標設定でした。でも、ふと気付けばすでにそこには辿り着いているような気がしていました。時間が掛かったような、掛からなかったような。苦しかったような、楽しかったような。一生掛かると思っていたのに40歳そこそこで出来るようになってしまって少し拍子抜けしていた頃に、和巧絶佳展のお話をいただきました。制作方法は非常に緻密に構築し、ほぼ完成に近いレベルまで到達していたとは思うのですが、それを安定的、持続的に作ることが出来るのか?探求する過程は楽しいですが、リピートすることはまた違う困難が伴います。自分の世界観を作品を通して伝えるためには、ある程度まとまった量の作品が必要だし、それが出来たら一つの区切りかなと思っていました。

他にもこの夏はいろんなことがありました。ボチボチ、書いていけたらと思います。

誰にも再現できぬものを。

お知らせ,日記,漆工芸 posted on 2020-8-18

6月13日の北日本新聞の朝刊の記事「令和の匠」に取り上げていただきました。大変遅くなりましたが、北日本新聞社さま、文化部の米澤記者に心より感謝申し上げます。もし興味のある方は、北日本新聞のwebunをご覧ください。

自分のことを書いていただいているので、当然知っている内容なのですが、自分の人生って文字にするとこういう感じなんだなと不思議な感覚におちいると同時に、若いことの出来事を昨日のことのように思い出すような臨場感もあります。しかも漆芸の技術的な部分も非常に正確に記載されています。文章が上手いというのはこういうことなんだと思いました。
見出しは「誰にも再現できぬものを」です。二日間にわたって取材をしていただき、いろいろお話をさせていただきましたが、この言葉を拾っていただけたことは、とても嬉しく思います。漆は見た目が華やかで技術的にも複雑なので、そちらに目が向きがちですが、今自分が思うことは「誰にも再現できぬものを」、ただそれだけかも知れません。自分は漆工芸の伝統的な技術以外にも、現代のテクノロジーを使ったモノづくりの知識に関してもかなりのレベルで熟知している自負があります。自分が扱う素材は漆以外にも多方面に及ぶので、3DCAD以外にもCNCフライスや3次元プリンターやレーザー加工機などこの世にある加工技術のほとんどすべてを使っています。別に趣味で使っている訳ではありません。これらすべては「誰にも再現できぬもの」を作るために必要な手段なのです。

しかし、作品をどのような手段でつくったかは、後世には伝わりません。なぜ伝わらないのか?手段はどうでもいいからです。すべての目的は価値の高い作品をつくること、そのためには「誰にも再現できぬものを」つくるしかないという当たり前の結論に行きつきます。
厳しいですが、そういうことです。めでたし、めでたし。

花鳥画というテーマ。

日記,漆工芸 posted on 2020-8-17

ここ数年は花鳥画にこだわって制作をしています。自分は東京生まれで埼玉の新興住宅地で育ったので、漆芸をやるまで花や鳥や昆虫にあまり馴染みがありませんでした。富山に来て初めて牡丹の花を見た時は感動したのを覚えています。美しいと言うより萎れかかっている姿が気持ち悪くて。

日本の美術は現実の世界から美しい図形を抽出することに注力してきたのだと思います。日本における優れた絵画とは、自然界の持つ法則性をモチーフを通して図像化できているものとも言えます。自然の法則や遺伝子に記述されている成長のプログラムなどの一断面、それが優れた花鳥画なのだと思います。

人間は規則性を見つけることが好きなのだと思います。一見全く違うことから共通点を見出す時、それが本質であることが多いからです。本質が分かれば、その応用で大抵のことはなんとかなるからです。長男がやっと喋れるようになった時、2つのものを交互に指差して「いっしょ、いっしょ。」と言っていたのを思い出します。人間が生まれながらに持つ性質なのでしょう。自分はそれが知的好奇心そのものなのだと思っています。自然を美しく描けるということは、自然を構成している物の形態の規則性を理解したのと同義だから、当然、知的好奇心は満たされる。また、それを観賞する人にとっては、美しいものに触れる時間≒事物の本質に触れる体験だから、同じような体験となる。

自分の作品がそれほどでないことはいつも感じます。なぜか自分の画力が向上し、漆や素材を巧みに使いこなせば使いこなす程、ゴール地点が遠くなって行く気がしています。非常に不思議な感覚ですが、それ故に花鳥画は描かれ続けたのだと思います。

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