工房が完成する。

 

ほとんど出来ていた工房の押入れも、今日の午後、大工さんが棚板を入れてくれて、やっと工事が終わりました。押入れの戸は、自分で古道具屋で板戸を買ってきた物を使おうと思い、それに合わせて作ってもらいました。最後にその板戸を入れて工房が完成しました。何日か前に床も畳から板張りに直してもらい、自分で柿渋と漆を塗ったので、結構自分が理想とする工房のイメージに近づいたと感じています。工房は1日のほとんどの時間を過ごすので、というより人生のほとんどの時間と言ってもいいくらいかも知れませんが、心の落ち着く空間でないと僕はイヤです。庭が一望できるこの家の一番いい部屋を建築としての品位を損なうことなく工房に改装できました。
僕の人生には思いがけないいろんなロスタイムがあったので時間はかかりましたが、やっと自分の工房を持つことが出来ました。

今までいろんな嬉しいことがありましたが、今回のうれしさは質が違うような気がします。椅子に座りしばらくの間何もせず工房に一人でいました。障子を閉めると庭から夕方の柔らかい光が入るので、少し眠くなりました。18年前に漆をはじめた時のことを思い出しました。お金に困るような家庭環境ではありませんでしたが、親の意に添う生き方でないことは分かっていたので、出来る限り自分の力でやってきました。若いときは建築の図面を描いて、そのお金で材料や道具を買って技術を磨きました。夜、仕事から帰ってからやっと漆の作業が出来る時間が取れました。今でも夜の新宿の人並みをぬって歩いている夢を見ます。決まって冬で、電車の待ち時間に少しでも時間を無駄にしまいと、立ち食いそばで夕食を済ませている夢です。

「ただいまー。」という、子供が保育園から帰ってきた声で目が覚めました。
納屋の電気工事と工房の押入れの工事が終了し、やっと通常の制作に入れそうな環境が整ったのですが、明日からしばらく富山を離れます。お急ぎのご連絡は携帯にお願いします。

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