箱のような形のものを作るとき、内側の仕上げがいつも本当に大変だと感じます。外側を蒔絵や螺鈿にすることが多いので、内側は色合いのバランスからして黒が良いということが多いのですが、この黒で仕上げるというのが一番難易度が高いです。梨子地のような技法は工程数は多いですが、技術的には楽です。僕の作品は小さいものが多く、しかも隅がカドになっているのがほとんどなので、通常のやり方のように指で研ぎ炭を摘んで研ぐことが出来ません。ほとんどがピンセットです。ピンセットで炭を摘んで研ぐと研ぎ面と密着しているか分かり難く、傷がつきやすいので、炭の形など工夫しないと出来ません。毎回時間に追われるので、その場しのぎでやっていたのですが、去年はかなり作品数を作ったので、そのあたりのやり方を筋道を立てて考えてみました。たとえば、隅(角)を研ぐということはどういうことなのか?とか炭の形と大きさとホールドの仕方とか。考えると結構「なるほど!」が詰まっています。小学生か中学生の夏休みの自由研究ぐらいにはなりそうです。しかしこのような技術的な知識や理論の価値は、それを知らないと出来ないことがあるとか、飛躍的に効率が上がるとかいうことがないと意味ないので、そう考えると微妙なところでもあります。しかしながら漆工芸の世界は迷信や、やりもしないで技術を語るというケースが多いので、実践による証明がなされているという点で信憑性は高いです。とは言っても、このようなマニアックなことを誰かに語る必要も予定もはありませんが。
研ぎについて。
2014年1月7日