水墨画

 

気になる水墨画があり、調べています。大学時代の講義で水墨画について興味を持ってから、かなりいろいろなものを見てきましたが、やはりまだ分からない部分も多いです。最終的には描かないと理解できないような気もします。僕は漆工芸品を作れるので、蒔絵の線の打ち込み方とか、研ぎ出し具合とかで作者や真贋が大体分かります。多分、水墨もそのぐらいにならないとダメでしょうね。
漆で言うと、印籠などは著名なコレクションにもたまに贋作があるので、再現がより容易な水墨画の世界は、贋作や模写だらけなのではないかと思っています。ただ、美術の世界は「上手いけど贋作なのでは?」というパターンに良く遭遇します。もっと言うと「こんなに上手いのに、何でこんなマイナーな画家の贋作を描くの?」という疑問です。でも画家の知名度や評価は時代でかなり違うそうです。例えば、戦前は雪舟と雪村は双璧という扱いだったそうですが、現代はそうでもありません。と言うより、活躍時期や立場も違う二人を並び称すること自体が無くなりました。それもそうだし、室町時代の水墨なんて中国から見たら全部中国画を真似した偽物に見えるかもしれないので、気に入ればそれで良いような気もします。そもそも書や水墨は必ずしも巧拙が価値に直結する世界でもないので、「上手い画=本物=価値がある」という図式は成り立ちません。有名人のサインみたいなものという考え方もありますが、そう考えると何が価値なのか分からなくなります。しかし人間はいつの時代も「価値」に関しては敏感なので、長い年月受け継がれたものには基本的に「何かある」と思うことが大切だと思っています。その「何か」が分かった時はとても気持ちがいいです。

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