色空間には均等空間という概念があります。簡単に言うと色の変化が人間に均等に感じられる色空間というとこです。
色とは大まかにいうと物理的性質により表わされる部分と人間の知覚をベースに考えなければいけない部分があります。可視光のスペクトルを波長に従って直線状に並べると気付くのですが、緑から青にかけての領域が非常に広範囲であることに気が付きます。逆に赤から黄緑あたりの変化が急激で、人間にはとても不自然なグラデーションに見えます。これは、人間が赤から黄緑色にかけての波長に感度が良く、逆に緑から青にかけての波長に鈍感であることを示しています。人間にとって赤から黄緑近辺の波長域の作り出すの微妙な色合いは、木の実などの食べごろを見分ける非常に重要な手掛かりで、進化の過程で傾斜的にその波長域の知覚能力を獲得したのではないかと思います。人間にとって有益な自然界での変化がこの波長域に凝縮されており、そこに人間が適応したということです。
つまり、波長の長さで等間隔に色をピックアップしても人間にとって美しいと思えるグラデーションを作ることは出来ません。ということで、人間の波長別識別能力に基づいて色空間を補正したものが均等色空間です。赤から黄緑あたりは空間を引き延ばして、緑や青近辺は縮めていきます。これが実際には涙ぐましい努力をしていて、当然ではありますが、人間の知覚は数式一本で補正できるほど簡単なものではなく、今をもって完全なものは出来ていません。
しかしここまで読んで僕が思ったのは、貝材料に関してはある程度の彩度や輝度を持たないものは加工前にポイされるので、色相だけの均等色空間を作れば良いだけじゃないの、ということです。つまり可視光のスペクトルを識別能力に基づいて伸縮させ、均等空間(均等スペクトル)を作り、その色味ごとの貝材料の量を計測すれば、色味ごとの貝材料の希少価値が数値化できるということになります。
当たり前のような、目から鱗のような。
いつものことですが、良い作品をつくることに直接的には関係ないので、趣味の領域ということにしておきます。