漆の棚、将棋。

 

先日、加賀蒔絵の棚を資料として購入しました。出所がはっきりしている加賀蒔絵のモノは珍しいので、良い資料になります。いつか棚を作ろうかと思っているので、最近は棚の資料集めに奔走しています。半年くらい前は桃山から江戸初期くらいの棚を入手しました。典型的な高台寺蒔絵の手法で作られていて、作りの粗末さまでそのものでです。桃山美術は、当時の世の中の疲弊からか、工芸的な観点から言うと粗悪品が多いです。保存方法が悪いとボロボロになります。もちろんその当時の工人が劣っていたわけではなく、戦乱ばかりで、手のかかる工芸品を生み出すだけの富を蓄積できなかったのだと思います。私の手元にある棚もボロボロですが、何かの縁で我が家に来たわけだし、丁寧に修復しようと思います。
加賀蒔絵の方ですが、意外にも木地蒔絵です。正確に言うと、拭き漆の上に蒔絵をしてあります。非常に手慣れた感じの蒔絵で、これといった特徴はないのですが、木地の欅を良く見ると、漆仕事の前に蘇芳で染めているのが分かります。これって正倉院の宝物の赤漆文観木の棚と同じでは?本では読んだことがありますが、江戸の後期から末期というこんな最近までやられていたとは知りませんでした。良く見ると、なんと木地がすべて分解できることに気が付きました。非常に精巧に、しかも知恵を振り絞って作っているのが分かります。ここでは書ききれないほどの発見がありました。残念ではありますが、現代の木工がいかに退化したものかがはっきりと分かります。現代の作り手が江戸時代の一級の棚を分解し、木地の寸法や継ぎ手を調べる機会がどれだけあるかと言えば、ほぼゼロではないでしょうか。継ぎ手は接着剤でくっつけてしまえば、人目に触れることはありませんし、邪推かも知れませんが、ある種の作り手からすればその方が都合が良いこともあるでしょう。分解しても良いような造りの棚は継ぎ手まで非常に美しく出来ています。つまり継ぎ手まで見られるのを前提に作っているのです。しかも構造が非常に工夫されています。見た目に美しいプロポーションを実現するには部材を細く薄くする必要がありますが、そのような部材でありながら強度を保つ工夫がすごいです。漆の棚について、いろんな人からいろんなことを聞きましたが、実際に見て言っている人はいないというのが良く分かります。工芸の世界に迷信が多いのは、いろんなことを言う割に全然やりもしない人も多いからですが、良いものを実見して、同等のものを必ず自分の手で作ることが大切です。そうでないと、ちゃんと理解しているとはいえません。
金具もまた面白いです。これは次の機会に書きたいと思います。

先日の将棋大会で、長男がまたもや準優勝でした。完敗でしたが何か掴んだものもあったようです。決勝の棋譜をもらうことが出来たので、家に帰り、早速AIで分析していました。
将棋を始めてからもうすぐ丸2年になります。飽きることなく、弱いなりにもとても楽しんでいるようです。
いつもお世話になっている富山将棋道場の方々に心より御礼申し上げます。

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