ここ一年ぐらいかけて制作してきた作品がやっと終わりに近づいています。初めて脊椎動物をモティーフに選びました。2つ目玉があり、さらに鼻や口があると、それだけでなぜかとても身近なものとして感じられます。ただ、それだけに鑑賞者の目は厳しくなり、少しの違和感も許されず、作る上では難易度は増していきます。
特に目は微妙な違いで生命感が出たり無くなったりします。今回は仏像と全く同じ技法で作ろうと思っていたので、素地は木芯乾漆で作りました。ということで目も単なる蒔絵ではなく、玉眼のように本物感を出したいと思い、白蝶貝を彫刻して作ることにしました。しかし、当初のイメージとはかけ離れたものになってしまい、結局は何度も作り直しています。顔以外はほとんどできていて、かれこれ1年以上もかけています。すべての要素をその仕事量に見合うクオリティーに持っていくことは非常に難しいです。平安末期から鎌倉初期の慶派の仏像、松本喜三郎、平田郷陽の生き人形などは本当にすごいなと思います。写実という面から見たとき、造形的にも完璧ですが、さらに違和感のない表現をちゃんと見つけ出しているからです。
僕の制作スタイルではそれほど多くの作品を生み出すことは不可能です。ですので、一つずつを悔いのないように作りたいと思っています。作品に対して言い訳するのはとても辛いことですし、絶対にしたくありません。そして何より、作品は自分の死後も存在し続けるので、いずれそれをすることすらできなくなります。
作品に命を吹き込めれば良いなと思っています。作品がずっと生き続けるために。