英単語を覚えてみる。

 

毎日同じような作業を繰り返していると飽きてくるので、最近は何かを聞きながら仕事をするようにしています。以前は考えながら作業することが多かったので無音でないとできなかったのですが、ここ数年は作品の規模が大きくなり単純作業の時間が増えてきた所為か、何か聞きながらということが多くなりました。そんなこんなで、英単語でも覚えようと思い受験用アプリの「ターゲット1900」をipadで流しながら仕事をしてみたのですが、これがなかなかに覚えられません。せっかく買ったのに覚えないのも気持ち悪いので、空き時間にアプリについている英単語のテストのようなものをするようになりました。相変わらず本末転倒気味ですが、結果、かなり暗記しました。
やっていて気づいたのが、98%ぐらい覚えるとそこから伸びないということです。何かを覚えると何かを忘れるのでなかなか100%に到達しないのです。もちろん、十分な時間をとれば100%にもっていくことは可能だと思うのですが。
美術の世界でもこういうことってあるかもな、と思いました。目標や作風や技法など決めてしまえばゴールに向かって頑張るのですが、その範囲内での繰り返しになり、そこから伸びていくことができなくなります。なぜこの人は同じようなことばかり繰り返すのだろう?という人は、このパターンが多いです。このような場合、大体できるようになったら次の目標を設定して、そこに向かうのが良いと思います。英単語だって1900語中1900語すべてを覚えてから次に行くより、ある程度覚えたら範囲を拡張して新たに暗記を始める方が結果として覚える効率が良いのではないかと思います。つまり常に新たなことに挑戦していく意味とは、美談でもなんでもなく、単純にその方が自身の能力を向上させるのに効率が良いからだと思います。
ただ自分にとって最適なテーマを見つけるのは大変です。特に漆工芸の場合は加工の精度や仕事の量など客観的な基準があるので、新たな鉱脈が見つけにくいのです。一見、良い鉱脈はすでに過去の人により採掘済みであまり残されていないよいうに感じます。「才能」という言葉を軽々に使うのは好きではないのですが、もし許されるなら、それを見つける能力を「才能」と呼びたいです。

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