模様について。

 

ここ一年ぐらい注目している模様のテーマがあります。その模様は2007年に発表された論文で人々の耳目を集めるようになったのですが、論文ではその模様についての非常に興味深い事実を教えてくれています。
20世紀の発見だと思われていた幾何学模様が、実は中世にはすでに発見され使われていたということです。模様は見た目上違って見えても、その根底にある法則や性質が同じであれば、数学的には同じものとして分類されます。つまり同じ模様でも姿を変えて違う模様のよう見えていることがあり、なかなかそこには気付き難いのです。模様を幾何学的な法則あるいは性質と言い換えてしまえば、そのような意味において、今後新しい模様が発見されることはほとんどないと言ってもいいと思います。もちろん芸術という表現の世界では、その法則や性質を応用して美しいものを生み出せば良いので、可能性は無限と言うこともできますが。

日本の模様は非常に多くの対称性を持つよう良く練られたものが多いです。上下左右対称、回転対称、平面の充填性の高さなど、何かを装飾するための「柄」という範疇を超え、それだけで自立した作品と言えるレベルです。
西洋の模様は日本とは違い装飾する対象に特化した模様を考えているように思います。例えば建築や洋服は上下が決まっているので、模様は左右は対称であっても上下は非対称のモノが多いです。

美しい規則性や対称性をもったパターンはほとんどが自然界に結晶構造などとして存在しています。そしてつい最近発見されたこの幾何学模様と同じ構造を持つ物質も発見されたということです。
自然界の仕組みが可視化されたものに人間が美的価値を感じることが多いのは不思議ですが、そもそも芸術自体が、自然を把握しようとする人間の活動の一つに過ぎないのかもしれません。

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