今年の冬は暖かい日や晴れている日が多く、庭に出てコーヒーを飲むのが日課のようでした。僕は漆工芸家ですが一人でやっているので、用事で外に出ることも多いです。しかしながら、ほとんど車で移動したあとは建物の中にいるというように、移動してもドア・トゥー・ドアなので、あまり外出したという実感もなく、ずっと家にいるような感じさえします。だから外に出て自然に囲まれて、じっくりと次の作品について考える時間を意識的に持つようにしています。幸いなことに毎日忙しく過ごせていることにも感謝の念はつきませんが、自分の位置をニュートラルに戻すことを常に心掛けないと変な物を作ってしまいそうだし、そのあたりにも時間を割くのが僕らしい制作のスタイルだと思っています。
先日、家の塀を外から見ると、塀の礎石の下から古びた陶器製の管が排水溝に向かって出ているのを発見しました。おそらく100年くらいは前のもので、土が詰まっていて全く機能していません。今までは何も思わずスルーしていたのですが、ふと気が付き、塀の内側から庭を掘ってみるとなんと庭の水を排水するための土管でした。土管が突き刺してあるだけでしたが、家の基礎の際に計算したように通してあるので、おそらく数十年前に家の基礎をコンクリートにしたときに庭の排水設備を壊し、そのまま放置したのではないかと推測しました。というのは、大雨のときにはいつも庭に池のような水溜りが出来からです。
ということで、天気予報で3日くらい連続で晴れそうな日を選んで、自分で暗渠パイプを埋めました。そこまでのいきさつはかなりいろいろあったのですが、まずは建設業や土木業者の人に相談しました。すると庭石を移動させる重機を入れることが出来ないとか、それなら石の下にトンネルを掘らないとダメだとか、かなり特殊な条件下だったので、熟慮の末、自分ですることにしました。ほとんどのことを自分でやらないと気が済まない性格ではあるのですが、この決断にはかなりの勇気が要りました。仕事量も多いですが、家の基礎の近くなので強度を考えた構造が必要だし、石の下を掘るので、そのとき石の重みで土が崩れてこないように支えながら掘っていく段取りも必要になります。
かなり綿密に計画し、資材や道具をすべて購入し、一気にやりました。妻は「なんでそこまでやるのか分からない」と言っていましたが、途中から僕もそう思いました。そう思いながらも一人でやりきったのは、僕の性格のなせることだと思います。
今日は朝から非常に強い雨が降りました。暗渠排水が機能しているか塀の外にチェックしに行ったら、見事に機能していました。めでたし、めでたし。