忙しくて生活サイクルが狂ってしまっていましたが、やっと戻りました。
ここ数年は木胎が多かったのですが、去年あたりから乾漆(布胎や紙胎)を良く使うようになりました。僕のは木胎といっても普通の木胎ではなく、木を木口方向から刳り貫いてつくる刳り物で、とにかく漆を多く吸わせたものです。漆が素地を貫通するので、木地固めが終わった時点で無垢の樹脂で作ったような薄くて重たい素地になります。よく素地が狂うとか狂わないとか重いとか軽いとかいろいろ言いますが、狂う原因は簡単に言うと空隙と水分です。素地の中に隙間がなくて、内部で流動するような要素がなければ変形しません。だから木胎の場合、内部の空隙に漆が入り込み、つまり含漆率が高ければ狂いにくいという当たり前の結論に達します。そしてそうすれば密度が高くなるので重くなるのは当然です。だから薄くして軽量化を計るのです。良く漆器は軽いのが良いという迷信に囚われている人がいますが、一概には言えません。ちなみに僕が作るものは決して軽くありません。むしろ重いです。一般的な漆器より薄くて重いです。お椀などの場合の熱の伝導性を考慮しなければ、それが一番優れた素地だと確信しています。
そう考えると乾漆素地もなかなか良いと思うようになりました。手間は掛かりますが、正しく作れば良いものになります。乾漆も軽く作った方が良いという迷信をたまに聞きますが、ちゃんと作ると重くなります。でもちゃんと作ると丈夫になるので、重さはある程度薄さでカバーできますが。
ということで最近は乾漆も多いです。