無題。

 

漆工芸の工程は一つ一つは単純なものがほとんどですが、いろいろ組み合わせるとかなり複雑になります。また、そのための準備や失敗した時のフォローも考えると、段取りや作業の順序がパズルのように複雑になってしまいます。
人の性として、与えられた条件の範囲で最大限の可能性を追求してまうのはしょうがないなとは思いますが、だからといって良いものが出来るとは限らないのが現実です。漆工芸の場合は、たとえ複雑な工程をパーフェクトにこなしてできた作品でも、見る人が理解できる美しさを持っていなければ、何の意味もありません。むしろ、単純な技法を根気良く積み重ねていく方が良い結果が得られることも多い気がします。
過去の名品と同じ技法で同じレベルの作品をつくるのも当然難しく、自分には出来ないものも多いですが、僕自身はそこよりも自分の欲しい図像を得ることを最優先しています。欲しい絵に対して妥協しないと、僕の場合は必ず工程がパズルになってしまします。でも良く考えると、他業界ではとモノ作りがパズルのようなものであるのは当たり前で、むしろ漆工芸もそのくらい考えないとできないレベルのものに押し上げていかないと、他の産業に対しての競争力を持ちえないのではないかと思います。勿論それには、作品の魅力と結びつかないことはやらない判断力が不可欠ですが。

目次
閉じる